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椿三十郎(2007) [時代劇]

観て来ました、森田版『椿三十郎』。

基本的に「三船敏郎以外の三十郎など不要」と言うスタンスの私ですが、公開されてからというもの毎日ネットでいろんな人のレビューを(見なきゃいいのに)見て、
「何っ!意外と面白い!?」
「何ィ!?客席がガラガラだとう!?」
「な、何〜〜〜っ!?ラストシーンで※♯○〒▲↑♪☆∞????」
といちいち反応してしまい、実際はどうなんだ?と気になって気になって夜も眠れず……そう昨日は夜勤だったからね、とにかくこのままでは精神衛生上よくないと判断し、思い切って映画館に足を運んだ次第です。

では早速感想を述べたいと思います。
結論から言うと、

 も う 少 し マ シ な 出 来 か と 思 っ て い た 。

これが私の正直な気持ちです。

例のNHKのハイビジョン特集を見た時点で、なんとなく予測はしていたのですが、それでももう少しマシなものを期待していたので、「やられた」って感じです。
つまらないものを見せられて腹が立つと言うよりも、(特集番組を見た限りは)あれだけ真摯に取り組んで作ったはずなのに、それでもここまで見事にオリジナルとの差が開いてしまうものかと、愕然としたと言った方が正しいと思います。

別に私は、オリジナルと比較しまくってやろう、粗探ししてやろうなどと息巻いて映画館に乗り込んだわけではありません。
むしろ、できることなら自分の頭を一発殴ってオリジナルの記憶を追い出してから観たい、とすら思っていました。その方が絶対に楽しめるから。
まあホントに殴って打ち所が悪くて死んだら困るので、止めましたけど。

なんにせよ、努力はしましたが、やはり完全にオリジナルとの比較なしに観る事は無理でした。

以下は、私がかろうじてオリジナルとの比較なしに感じた事です。

<良い点>
・ファーストシーンがカッコいい
・藤田まことの安定した演技。全ての出演者の中で一番安心して見る事ができた
・佐々木蔵之介。知らない役者だったけどなかなか良かった

<悪い点>
・出て来る人が皆一様にオーバーアクションで観ていて疲れる
・観客を子供扱いするような説明的なセリフ回しと画作りにイライラ
・豊川悦司の声としゃべり方が気持ち悪い
・中村玉緒は城代家老の奥方にはとても見えない
・冒頭の社殿内のライティングはひどすぎる。
・ラストのアレ(未見の人のため秘密にします)はダサ過ぎる!監督のセンスを疑う

次に、遠慮なくオリジナルと比較しての感想。

<良い点>
・ファーストシーン。なかなか緊張感があって、コレもありかなと思った
・佐々木蔵之介はマジで良かった。小林桂樹に匹敵する堂々たるおとぼけぶり。寺田宅での織田&若侍の学芸会芝居の中にあって彼が登場するシーンだけ安心して観られた
・城代救出後、菊井と室戸が戻って来て蔵を覗くシーン。オリジナルだと暗くて分かり辛かったけど、リメイクでは中に閉じ込められた黒藤たちをヨリで撮ってて、分かりやすくて良いと思った

<悪い点>
・織田裕二の演技。キャラが中途半端過ぎる。特に冒頭の社殿で三十郎が若侍に金を無心するところ。ここの織田の演技が一番嫌い。何故あんなに言いにくそうに恥ずかしそうに言うのか。あれは当たり前のようにサラッと言うからいいのに、あれじゃ観てるこっちが恥ずかしい。三十郎の飄々とした味を完全否定する最低の演出。まあOK出した監督が一番悪い。
・織田裕二の殺陣。無駄にタメが長いが全く格好良く見えない。ダラダラとテンポも悪い。まあこれも監督がいかんのか
・若侍。織田の兄貴風三十郎にレベルを合わせたのかもしれないが幼稚過ぎる。あんなオツムの弱いお子ちゃま侍が家臣とは、城代が気の毒でならない
・敵方の侍達が三十郎にビビり過ぎ。三十郎自身に迫力がないから不自然に見える。そもそも敵がそんな弱く見えちゃ、三十郎がどれだけ彼らを翻弄しても、斬り倒してもスカッとしない
・全編通してセリフにリズム感がない。カット割りもダラダラしててテンポが悪い
・藤田まことの城代。オリジナルの伊藤雄之助と比べると「うすのろのお人好し」には全く見えない。伊藤さんごめん
・ラスト、斬られた室戸の刀を三十郎が△△って○○に□□すシーン。アレは室戸の事を「良い刀だった」と言いたいのか。幼稚な演出に寒気を覚えた。三十郎はあんな事しない
・オリジナルと同じ構図を左右反転したような画作りが中途半端で気持ち悪い。完全に変えるか、同じか、どっちかにして欲しかった
・全体的に説明的で幼稚な映画にされたと言う印象。娯楽=子供向けではない。しかも子供に受けてないし

以上です。
細かい不満は書いてるとキリがないのでやめます。
悪い点の方が圧倒的に多くなってしまいましたが、オリジナルのファンとしては見過ごせない部分ばかりでして、言い換えれば、オリジナルを知らなければそんなに気にならなかったかもしれない点でもあります。
オリジナルを知らなくて、出演者のファンで、森田監督のファンで、時代劇にこだわりのない人ならそれなりに楽しめたと思います。
あんまりフォローになってないかな…。

そう言えば私、ハイビジョン特集について書いた際、

 “どうせなら「どこまでオリジナルを再現できるか」に挑戦して欲しかった”

と書きました。
織田さんは時々三船さんを意識しまくった演技をしていました。でも中途半端で観てて恥ずかしかった。
やっぱり、織田さんのキャラに合わせた脚本にするべきだったと思います。
ちょっぴり織田さんを気の毒に思います。

まあでも、観て損したとは全く思っていません。
最後まで観るのはかなりの苦痛でしたけど(時々眠気も襲って来たし)、最終的にはいろいろ気になっていた事が明らかになってスッキリしました。
黒澤監督と三船さんの偉大さを再確認できたし。
期待通り、オリジナルに興味を持ってくれる人も増えてるようだし。

ただ、今日の観客の入りはあまりにも寂しかった。
12月6日ってことはまだ公開して6日目ですよ。
片田舎のシネコンだけど、話題作なら近隣の市町村から人々が大挙して押し寄せる、それなりの規模の映画館です。
その中でも500席と言う一番キャパのでかいハコをあてがわれておきながら、平日の昼間とは言え、一緒に観ていた人が推定で20〜30人とはあまりにも少ないのではないでしょうか。
しかも、半分以上は年配の方。
年配と言うより高齢者と言った方がふさわしい老婦人もいらっしゃった。
この人はきっと、リアルタイムで三船さんのファンだったんだろうな、なんてちょっと羨ましく思いましたけど、このような昔からの三十郎ファンの人たちは、このリメイク作品をどう思ったのだろうか。

いやそれより、織田裕二とか松山ケンイチファンの若い人たちはどこにいるのか。
平日の昼間だって暇な若者は沢山いる。若い主婦とかだって他の映画ならよく見かける。
そう言う人たちが集まらないで一体誰のためのリメイクなのか。
私のような三十郎ファンのためでない事は確かなんだから、そうじゃない層をもっとぎゅっと掴まえなきゃ。
…こんな批判だらけのレビュ−を書いている者に言われたくないか。

ま、なんにしてもこれに懲りて黒澤作品のリメイク乱発は今後自粛してくれないでしょうかね。
【用心棒】もリメイクされると言う噂があるけど…なんとか断念して頂きたいものです。ハァ。


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ぴあふ

はじめまして。こんにちは。
超初心者の三船ファンです。
Kino様のブログを見て、「わ~い、近い時期に同じ人のファンになった方がいる~♪」とうれしくなりました。
私のきっかけは、NHKの「黒澤明に挑む」でした。(←Kino様より新人です。)
Kino様のブログのどこかにもありましたが、私も「TVはつけてるだけ派」なので、よく観てなかったんですが、
「私でも聞いたことがある名作をリメイクなんて、スタッフ&キャストは自信家なんだな。それにしても、映画って意外とマジメに作るもんなんだなぁ」
みたいな印象を受けました。
映画もドラマも舞台も観ないし、そういうものに偏見を持ってる人間なものですから、感想もエラソーですね(^^;)

でも、三船三十郎が「椿・・・三十郎」と名乗るところ、ここだけは記憶に残ったのです。
「世界のミフネ」という名前くらいは知っておりましたが、動いているところを観たのは初めてでした。
ちょっと惹かれて、本等で予備知識を仕入れてからレンタル店に行き、1枚だけあった「用心棒」を観ました。
これで、「うわ~、日本映画っておもしろい。三船敏郎カッコいい!」と、目からウロコが落ちた次第です。
黒澤の棚にはDVD2枚、ビデオ1本ずつあり、「椿三十郎」「七人の侍」「天国と地獄」など、観たいものはいつも貸出中で、日本映画の区画など近づいたこともなかった私は、稼働率に驚愕しました。
「羅生門」「野良犬」を観ましたが、三船さんはやっぱりカッコよかった!
いや、ミフネ、いいですね、ほんと。
もっと大きい画面で観たい、と私も思いました。
14インチTVに、それまで何の不満もなかったのに。

Kino様の森田版「椿三十郎」の感想を読み、オリジナルもリメイクも観てない私ですが、お気持ちはすごくわかるような気がして、画面に向かって一人ニヤニヤしちゃいました。
私が観たのは桑畑三十郎ですが、「これを織田裕二がやるとか言ってたっけ?私、寝ぼけてたのかな」って思いましたもん(笑)
リメイク→オリジナル、の順で観れば両方とも楽しめるかと思い、友人に話を振ったのですが、ノってくれませんでした・・・
それでも、リメイクがなければ「用心棒」も観なかったでしょうから、私、森田なにがし(この人は名前を聞いたことすらなかった)に感謝すべきなのかな?
いや、お礼を言うべきはNHKか(笑)

ではでは、長文、失礼致しました。m(_ _)m
by ぴあふ (2007-12-09 15:38) 

kino

>ぴあふ様
はじめましてこんにちは!ようこそおいで下さいました。
ぴあふさんも最近三船さんにハマったくちなんですね。お仲間ですねえ、よろしくお願いしますm(__)m

【用心棒】が初めての黒澤・三船体験で、三船さんの格好良さが分かるって、ぴあふさんは好みが渋いですね。
私はうんと若い頃に【椿三十郎】を観た時には、ムサいひげオヤジの三十郎より、爽やかな印象の若侍・加山雄三の方に惹かれました。
今は三十郎の素敵さが分かり過ぎるほど分かる年齢となってしまいましたが(^^;)
三十郎の格好良さは個人的には【用心棒】の方が上と思ってますが、【椿三十郎】も良質のエンターテイメントなので、是非ご覧になって下さいね。
リメイクの方も、単体で観れば十分楽しめるのではないかと思いますが、やっぱりオリジナルと全く同じ脚本と言うのが諸刃の剣となってます。
今からご覧になるなら、私ならあえて「まずオリジナル→リメイクはレンタルが出てから」をオススメします。

私も映画を特別たくさん観てる方ではないので全然詳しくないですし、特に日本映画には全然興味なかったのですが、三船さんにハマったおかげで少しずつですが良い作品(古いものばかりですが)に出会う事ができてます。
三船さんの出演作品は、黒澤監督作品以外にも素晴らしいものが沢山ありますので、是非レンタル店でチェックして下さいね。
改めて調べてみると、三船さんの出演作品ってものすごく多いのです。
三船さんに飽きない限り、かなり長期間楽しめる事請け合いです。
BSをご覧になれる環境があるなら、今日から4〜5日の間に三船敏郎没後10年の追悼特集で、黒澤作品以外の三船さんの映画が8本一挙放映されますので、是非チェックしてみて下さい。

私のブログはネタバレが多くて、しかもダラダラとまとまりのない文章なので読みにくくて申し訳ないのですが、ぴあふさんがこれから他の作品をご覧になった時に、共通する感想もあるかも知れませんので、またお時間がありましたらお立ち寄り下さい。
気が向いたらご意見などもお聞かせ願えれば嬉しいです。
by kino (2007-12-10 13:09) 

ぴあふ

こんにちは。
忙しくてレビューが書けないとのこと、残念です。

>好みが渋いですね。
ええええっ、そうですか!?
『用心棒』観たら、誰でも惚れると思いましたですよ(笑)

>椿三十郎
どうしよっかな、なんて言ってるうちに公開が終わってしまう、というのが私のいつものパターンですので、Kino様のオススメのとおりになりそうな予感が、実はしています。

>三船さんの出演作
調べたら150本くらいあるんですねえ。
別に映画ファンではない私でも「観たいな~」と思える作品が10本以上あります。

>BS
観られないんですよ(;;)
京橋のフィルムセンターの上映予定も調べたんですが・・・。
当分、レンタルするしかなさそうです。

>感想
読みにくいなんてとんでもない!
私は丁寧なレビューが好きなので、すっごく楽しいです。
観たつもりになれちゃう♪
『日本誕生』のところで、「レビュー待ちの作品が8本」とあったので、ず~~っと待っております。(←と、プレッシャーをかけてみる。^^)

では、お早い復活を祈りつつ。
by ぴあふ (2007-12-15 22:08) 

kino

>ぴあふ様
こんにちは♪(・∀・)
私の拙いレビュー(むしろ感想文)を楽しみに待って下さるなんて光栄です。ありがとうございます!
忙しいと言っても全く暇がないわけではないのですが、私は遅筆な上にご覧の通りの長文なので、書く事に集中するにはやっぱり時間が足りないのです。
ってわけで、心置きなく集中できるのは2月以降になりそうです(^^;)

『日本誕生』を書いた時点での「レビュー待ちの8本」のうち4本は、後日記事にした『太平洋奇跡の作戦キスカ』と『宮本武蔵』、『独立愚連隊』そして『レッド・サン』なので、半分は消化したんです。
ただし、その後にまた新たに何本か観てしまったので、結局レビュー待ちの本数は変わってないかむしろ増えてるのですよね…(汗)
どれも三船さんの魅力が一杯つまった面白い作品ばかりなので、私も早くレビューを書きたいです。
その中に、ぴあふさんのお好みの作品があればいいなと思います。

『用心棒』の桑畑三十郎は文句なしにかっこいいですよね。でも、見た目はヒゲ面のオヤジだし、女性受けはあまり良くない(三十郎の良さが分からない)のではと思っておりました。
“好みが渋い”とは、逆にぴあふさんの感性を見くびった言い方でしたね、すみませんm(__)m

ぴあふさんが150本以上もの三船出演作品の中から「観たいな〜」と思われた十余本とはどんなのなんでしょう?
私は三船さんの出演作なら何でも観たいのですが、そんな不純な動機でも結果的に古き良き時代の素晴らしい日本映画をたくさん知る事ができてホントによかったと思ってます。
ぴあふさんも「別に映画ファンではない」から「結構映画好き」に変わられるかも知れませんね。

『椿三十郎』は一応お正月映画らしいので、年明けても上映されると思いますが、大してヒットしてないみたいなので以外と早く終っちゃうかもです。
私の意見などお気にせずにぴあふさんの観たい方を先に観て下さい。
そして本家でもリメイクでも、ご覧になったらぜひ感想をお聞かせ下さいね。
by kino (2007-12-17 20:06) 

hash

はじめまして、こんばんは。
オリジナル版も観たことあるのですが、細かい点は忘れていたので、リメイク版はそれなりに楽しめたのですが、なるほど、同じ脚本を使っていてもいろいろと違いがあるものですね。
私が気に入らなかったのは、殺陣を音で表現していたところでした。
「隠し砦の三悪人」もリメイクされるようですね。
by hash (2007-12-27 01:48) 

kino

>hash様
はじめまして、こんにちは。ようこそいらっしゃいましたm(__)m
リメイク版はオリジナルを観た事がない人にはわりと評判がいいようですね。
hashさんもオリジナルの詳細をお忘れになっていたのが幸いしたようですが、映画は楽しめた者の勝ちと思っておりますので、純粋に羨ましく思います。
「殺陣を音で表現していた」とは、三十郎が菊井の屋敷で大暴れした時の斬殺音の事でしょうか。
確かにオリジナルよりは音色豊かで派手でしたが、絵面的にはアップや上半身ばかりで「音で誤摩化されてる感」がひしひしと感じられましたね。
あの殺陣の場面では、斬殺音以外に三十郎の鼓動が低い音でずっと聞こえていたのですが分かりましたでしょうか。
私はBSのドキュメンタリーで事前に知っていたので注意して聞いていましたが、ああ言うこだわり(?)もあのチャチな殺陣を見せつけられた後だと「他に力を入れるべきところがあるだろう」と言う気持ちになります。

「隠し砦の三悪人」は脚本ばかりか主人公さえもオリジナルキャラに変えてますから、出来はどうあれ「椿三十郎」よりはリメイクの意義が伝わる作品かも知れませんね。
ただ、私にとっては「椿三十郎」よりも見る価値のない作品だと思ってます(^^;)
by kino (2007-12-27 15:54) 

和-nagomi

kinoさん、こんばんは~。753です (´▽`)ノシ
いやいや難産でした、難産でしたヨ。この作品の感想文は ( ̄▽ ̄;
観ている間はなんとかオリジナル版の影を払拭して観ることができたのですが、
感想を書こうと考え出すと、どうしても黒澤監督や三船御大の影がちらつきます。
オリジナルを観ていないワタシでも、

「あの場面が三船さんだったら……」

とか

「やはりあのカットは黒澤チックだなぁ……」

とか浮かんじゃいますもの。
ですが森田監督にとっては、こう思われることも含めての挑戦だったのでしょうね。
実際にテレビCMとかで

「時代劇を始めてみたけど面白いっ!」

って言っている女のことかもいますし、ワタシも黒澤作品を全く知らなかったら
同じことを言っていたと思います。
もしあれが黒澤脚本ではなくオリジナルで撮影されていたら。。。一気に森田監督信者
になっていたでしょうね f^_^;)

でも逆に言えば少なくとも時代劇については、
『50年前の脚本を超えるものが無い』
ということですからね。
時代劇ではなくて活劇という枠まで広げて見返しても、昨今の邦画ではちょっと
思い当たりません。
先日ワタシが観た「ミッドナイト・イーグル」も活劇の枠に引っかかりそうなものですが、
素晴らしかったかと聞かれれば、

「……うーん」

と唸ってしまいます ( ̄▽ ̄;

確かに撮影技術とか編集だとかカット割とか画作りについては50年前とは比較になりません。
ですがいくら調味料が良くなったって、素材となるものが新鮮で良質のものでなければ
やはり美味しいものにはならないのですよね。

ワタシ常々思っているのですが、日本の映画界は脚本家というものをきちんと育てて
いなかったのだと思います。
いつか自分のBlog辺りでちょろっと書いた記憶があるのですが、その手の才能が
手軽にお金を得ることができる小説などに流れてしまって、結局はその世界を経由してから
でないと面白いテーマが映画脚本にならないのだと思うのです。
そしていくら良いテーマでも余計なところを経由する分、鮮度が落ちたり余計なものが
ついたりして、映画にしたときに真に面白くなる部分がぼやけていることが多々
あるんじゃないかって。

話は戻りますが、「椿三十郎」という作品の脚本は間違いなく面白いのです。
ですからオリジナルをそのまま使って撮ったこの映画が面白くないわけが無いと思うのです。
オリジナルとの差異はワタシにはわかりませんが、その違いというのは単に
「黒澤&三船コンビ」と「森田&織田コンビ」との違いであるのです。
(※あえてここでは“差”とは言わず、“違い”としておきました)

いずれワタシもオリジナルを観るつもりではいます。
そこでこの“違い”について「黒澤&三船コンビ」よりも良いといえる箇所が
ひとつでもふたつでもあればそれで良いのではないかと思うのです。

それにこの企画というのは森田監督にとって黒澤御大との勝負という観点で見られては、
その時点で負け戦が決定事項となっています。
なにせこの脚本は他ならぬ黒澤監督自身の脚本なのですから。
もしこれが黒澤監督でも森田監督でもない第三者の書かれた脚本の映像化であれば、そこに
見られる差は二人の力量差として公平に見れますが、もともと黒澤監督寄りといえる脚本を
使っているのですから、どうあがいても森田監督に勝ち目はありません。
まあこの辺はわざわざ言うことでもないですね f^_^;)

さてワタシが劇場を出てまず最初に思ったことは

「面白かった~っ!」(≧▽≦)b

です。
そして次の瞬間に思ったことは

「でもこの脚本、半世紀前のものなんだよなぁ……」

でした。
少なくともここ10年くらいの間に邦画史上における記録的な作品って、一連のジブリ作品か
「踊る大走査線」くらいです。
(※「Hero」は思ったほどブームにはならなかったと思います。「踊る~」超えとか
 なんとか 言ってましたが、結局そこまででは無かったですよね?)

「踊る~」はあれだけテレビで当たっておいて、そのスタッフのまま製作されたので
純粋に映画制作という目で評価することは難しいと思います。
そこでジブリ作品についてなのですが、やはり脚本が良いんです。
少なくとも「ナウシカ」、「ラピュタ」、「紅の豚」、「もののけ姫」辺りについては
技術と資金さえあれば実写として撮っても面白いのではないかと思います。
(※個人的な意見ですが)

なんだかちょっと話が発散してきちゃいましたが、映画製作において作品を作るのは監督が、
物語を作るのは脚本家が、命を吹き込むのは役者がやる仕事だと考えます。
監督と役者はともかく、一番光が当たりづらいがゆえにないがしろにされているのが
脚本家なのではないかなぁと思うのです。
そのことを改めて感じた映画でした。

つまらない話をつらつらとスミマセン f^_^;)
でもこういう話をできてとても楽しくて嬉しいです。
コレに懲りずにまたお付き合い頂ければ幸いです m(_ _)m
by 和-nagomi (2007-12-28 00:42) 

kino

>753さま
こんばんは!今日は寒いですね〜。

さて、753さんのブログでの感想が、開口一番「面白かった!」だったので、私は実のところちょっぴり複雑な気分でした。
脚本が同じなんだから面白くて当たり前と言う思いと、いやオリジナルを観てたら手放しではきっと褒められないはずと言う思い。
ファンとはかくも身勝手なもので(^^;)
でも、比べるモノがなければそんなにひどい違和感を感じることなく観れるだろうと、私も実際に観てて思いましたので、純粋に楽しめた人はラッキーだったなあと思っております。
と言っても753さんはオリジナル未見の理由が特殊でありますから(笑)、オリジナルの幻を頭から追い払いつつ観ると言うのはさぞ大変であったろうとお察し致します。
個人的には、早くオリジナルを観て欲しいんですがね。
森田版が上映終了したら、どっかでオリジナルをやってくれないものでしょうかね。
あ、そう言えば!黒澤監督じゃないんですが来年2月頃に、ラピュタ阿佐ヶ谷で岡本喜八監督の特集があるみたいですよ。
(めっちゃ行きたい、あ〜1ヶ月くらい東京に棲みつきたい)

すみません、話を戻します。
私は最近の邦画はあまり知らないので(昔のも知らないけど)、良い脚本がないと言うのが実感できないのですが、こうして実際に過去の名作の脚本を(事情はどうあれ)そのまま使って撮って「新作でござい」とやってるところを見ると、753さんのおっしゃる通りなんでしょうね。
今から50年後に「椿三十郎」として映画史に残るのはやっぱりオリジナルだと思います。
森田版は、多分多くの凡作の中に埋もれちゃうでしょう。
まったく同じ脚本を使った事は、今思えば完全に間違いだったとしか思えません。
確かに、監督も役者さんもそれなりに頑張ってて、それなりに面白いものが出来上がったワケですが、日本の映画界のレベルアップとか発展に繋がるモノではなかったと思います。
例えがアレですが…、なんか原作の絵に良く似せた、人気マンガの同人パロディを見ているような感じと言うか。
「絵が似てて凄い」「自分解釈が入ってて凄い」みたいな…。
こんな事しててもプロの漫画家にはなれません。やっぱオリジナルで勝負しなくちゃ。
森田監督のようなプロがお金かけて素人の真似をしちゃいかんです。

なんか753さんが言葉では「面白い」と言いながらも結構シビアなご意見を述べられたので、私も調子に乗って批判の上乗せをしてしまいました。すみません。
でも753さんのご意見のおかげで、脚本の重要性について改めて考えさせられました。
森田版「椿三十郎」はむしろ脚本の重要性を知るのにいい教科書と言えるかも知れませんね。見比べたらいい勉強になると思います。
…まあ一般人にはあまり有用ではありませんが…。

こちらこそ、またお気が向きましたら映画話にお付き合い下さい。
来年もよろしくお願いしますm(__)m
by kino (2007-12-30 23:01) 

あきこ黒澤

はじめまして、こんばんは。
興味深い記事、じっくり読ませて頂きました(^^)

も う 少 し マ シ な 映 画 と 思 っ て い た 。

私も リメイク版のあまりのひどさにクラクラしました。
もう少しマシだと信じて わざわざ映画館まで出かけたのに!
kinoさんの「やられた!」って感じ、 よ~く解りますよ(笑)
ここまで歴然と(盛大に)オリジナルとの差が開いているのは
尋常じゃないですよね。
by あきこ黒澤 (2008-01-31 19:32) 

kino

>あきこ黒澤様
はじめまして、こんにちは!ようこそおいでくださいました(^^)
黒澤様もオリジナルのファンなんですね。同じ気持ちの方がいらっしゃって嬉しいです。

オリジナル「椿三十郎」と三船さんに心酔している者としては、リメイクがどんなに頑張ってそこそこの出来であったとしても、やっぱり比較して劣っている点ばかりに目が行ってしまうし、極論としては「認められん!」なんですよね(^^;)。

今回のリメイク企画の一番の敗因(と断言してしまってはアレですが)は、やっぱりオリジナルに“中途半端”に似せた事だと思います。
優劣の判断は観る人の主観によりますが、そもそもこんな不毛な比較作業を強いる映画(殆どコピーに近いリメイク版)を作る事に意義があったのか、それが疑問でなりません。
「上役の悪行を暴こうとする若い連中に、凄腕の風来坊(死語?)が手を貸して…」なんてシチュエーション自体は普遍的なものなんだから、いくらでも違う設定で考えられたと思うし、それだけでもオリジナルのファンは不毛な比較作業から解放されたんじゃないでしょうか(まあ「観に行かない」を選択する人がもっと増えたかも知れませんが…)。

しかし、「隠し砦の三悪人」は(まるまるコピーでないにしろ)リメイクされてしまいましたし、「用心棒」もリメイクの噂を聞きましたし(しかも今度は織田さんじゃないらしい…)、黒澤映画のファンには暫く受難が続きそうですね。
by kino (2008-02-02 14:04) 

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